従業員10名前後の建設業者向け 就業規則のたたき台

序章(経営理念)

1 株式会社  ○○○○ (以下「会社」という)は、安全かつ堅実な施工を通じ、顧客のニーズを満たし社会の発展に貢献することを目的として事業を行う。

2 会社は、従業員が仕事を通じて家族と安心して生活できる基礎を築けるよう努力する。

3 従業員は、一人ひとりが、顧客ニーズを満たすには、社会に貢献するには如何にすれば良いか常に考え施工に従事し、必要であればその考えを社長に提案すること。

※解説

就業規則に必ず記載しなければならない事項ではないので、別になくても構わないですが、
仕事を行っていくうえで大切にしている経営哲学や、これまで経営をしてきたなかで考えてきたことについて、就業規則の序章として明文化しておくと良いと思います。

従業員が2~3人のうちは、従業員さんと家族的な関係を築きやすく、意思疎通も円滑に行うことが出来たかもしれません。しかし、従業員数が増えてくると、なかなかそうもいかなくなってきます。

無意識のうちに社長の判断基準となっていることを掘り下げ、経営理念として明文化し、それを就業規則に記載し、従業員さんと共有することは、仕事の判断基準の共有にもつながります。

第1章 総  則

第1条(目 的)

1 この就業規則(以下「規則」という。)は、従業員の労働条件、服務規律その他の就業に関する事項を定めるものである。

2 この規則は、社長に無断で、複写したり、社外の者に閲覧させたり、社外に持ち出したりしてはならないものとする。

※会社のノウハウの蓄積である、業務マニュアルのような規定を定めた場合、その情報の社外への漏洩を防止するため2のような規定を設けています。

第2条(従業員の定義)

1 この規則でいう「従業員」とは、第2章第1節(採用)に定める手続を経て採用され、会社と労働契約を締結した者をいい、試用期間中の者を含むものとする。

2 従業員を次の各号に掲げるとおり区分し、その定義は当該各号に掲げるものとする。

(1) 正社員…期間の定めのない労働契約による従業員であって、労働時間、職務の内容及び勤務地のいずれにも制約なく基幹的業務に携わる正社員として雇用されるものをいう。

(2) パートタイマー…有期労働契約(無期転換した後は無期労働契約)による従業員であって、週の所定労働時間が短く、主として補助的業務に従事するパートタイマーとして雇用されるものをいう。

(3) 嘱託社員…定年退職した後、嘱託社員として再雇用される者をいう。

【従業員に区分を設けない場合】
(定 義)
第2条 この規則で従業員とは、第7条(採用)及び第8条(採用選考)の規定により採用され、会社の従業員としての身分を有する者をいう。

第3条(適用範囲)

1 この規則のすべての規定の適用を受けるのは、正社員である従業員とし、正社員である従業員以外の従業員(以下「パートタイマー等」という。)については、一部の規定の適用を除外する。

2 パートタイマー等の労働条件のうち、この規則によらないものについては、次の区分に従い定めるものとする。
(1) パートタイマー…パートタイマー就業規則及び労働契約書
(2) 嘱託社員…嘱託社員就業規則及び労働契約書

3 正社員として入社することが内定している者についても、この規則に定める服務規律(職務専念義務及び就業に係るものを除く。)の適用があるものとする。

【正社員、パートタイマー、嘱託社員など包括的に定める場合】
第3条 (適用範囲)
この規則は、前条の従業員に適用する。ただし、期間雇用者、パートタイマー、嘱託及びアルバイトである従業員(以下「パートタイマー等」という。)について別規程等により、別段の定めをしたときは、その定めによる。

第4条(特 約)

1 従業員と会社が労働契約で特約を定め、この規則の内容と異なる労働条件を合意していたときは、当該労働条件がこの規則を下回る場合を除き、当該特約による労働条件を優先するものとする。

2 前項の特約の履行を妨げるやむを得ない事由が生じたときは、従業員と会社の双方の合意のうえで、当該特約の一部を変更し、又は全部を破棄することができる。

第5条(従業員の権利義務)

1 従業員は、この規則を遵守し、信義に従い誠実に権利を行使し、及び義務を履行すべきものであり、その債務の本旨に従った労務の提供を心がけなければならない。

2 従業員は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、これを濫用することがあってはならない。

3 この規則に定められた各種届出は特段の理由がない限り従業員本人が行わなければならず、これに違反した場合、又は手続を怠った場合はこの規則に定める利益を受けることができない。

※3の規定は、年次有給休暇の取得や時間外・休日労働の申請などは、就業規則に基づき正確に手続きを行うことを周知することで、業務命令によらない残業や無断欠勤を有給休暇に振り替えるなどの悪しき慣行の予防を目的としている規定です。

第6条(就業規則による労働条件の変更)

1 この規則に定める労働条件及び服務規律等は、法律の改正及び経営環境の変化その他の業務上の必要により、従業員過半数の代表者の意見を聴いて、変更することができる。

2 会社は、この規則の変更による労働条件の変更について、直ちに周知するものとする。また、従業員は、周知された事項をよく理解するよう努めなければならない。

3 労働契約において、従業員及び会社が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた特約があるときは、当該労働条件の内容が変更後の就業規則を下回る場合を除き、当該特約による労働条件を優先するものとする。

第2章  人 事

第1節 採 用

第7条(採 用)

会社は、入社を希望する者の中から選考を行い、適性が認められる者を従業員として採用する。

第8条(採用選考)

1 会社は、入社を希望する者に対し、次の書類(会社が認めるときはその一部を省略することができる。)の提出を求めたうえで、書類選考、面接試験及び役員面接を行い、採用内定者を決定する。

(1) 履歴書(提出日前3か月以内に撮影した写真を貼付させるものとする。)
(2) 職務経歴書又はジョブ・カード
(3) 健康診断書(提出日前3か月以内に受診したものに限る。)
(4) 学業成績証明書及び卒業(見込)証明書(新卒者に限る。)
(5) 在留カードの写し(在留資格を有する外国人に限る。)
(6) 各種資格証明書
(7) その他会社が必要とするもの

2 提出された第1項各号の書類は、不採用の場合は、直ちに、書留郵便により、本人に返還するものとする。

3 パートタイマー等については、会社の裁量により、本条による採用選考の手続き(前項を除く。)の一部を省略し、簡素な手続によることができる。

※解説

(2) 職務経歴書
自社の業務に有用なキャリア〔経験・資格〕勤務期間についての情報を得ることを目的としています。

(3) 健康診断書
会社には、従業員を雇った場合に、雇用時の健康診断を行うことが労働安全衛生法で義務付けられていますが、雇用後の健康診断で体調不良が判明しても、採用の取消は困難になります。採否の決定の重要な要素である健康状態が良好であることを採用前に就職希望者本人に証明して頂くと良いでしょう。

第9条(内定取消事由)

採用内定者が次の各号のいずれかに該当する場合は、内定を取り消し、採用しない。

(1) 採用の前提となる条件(卒業、免許の取得等)が達成されなかったとき。
(2) 入社日までに健康状態が採用内定時より低下し、職務に堪えられないと会社が判断したとき。
(3) 暴力団員や暴力団関係者と関わりがあることが判明したとき。
(4) 採用選考時の提出書類に偽りの記載をし、又は面接時において事実と異なる経歴等を告知していたことが判明し、会社との信頼関係を維持することが困難になったとき。
(5) 採用内定後に犯罪、反社会的行為その他社会的な信用を失墜する行為を行ったとき。
(6) 第8条第2項に定める採用内定時には予想できなかった会社の経営環境の悪化、事業運営の見直し等が行われたとき。
(7) その他前各号に準ずる又はやむを得ない事由があるとき。

※解説

従業員が暴力団関係者であると知りながら労働契約を締結していると、暴力団関係者への賃金の支払いが「利益供与」に当たる可能性があり、会社そのものが「暴力団関係者」に該当すると判断され、建設業許可の欠格要件に該当するものとして許可の取消処分を受けてしまうリスクもあります。採用面接時において属性確認を行うとともに、本人がその事実を詐称した場合は、内定を取り消すことを記載しておくと良いでしょう。

第10条(採用時の提出書類)

1 採用が内定された者は、初出勤の日までに次の必要書類の全部を会社に提出することにより、会社の職務に従事することができるものとする。ただし会社が特に認めた場合については、提出書類の一部を省略することがある。

(1) 入社誓約書(会社所定の様式)
(2) 個人情報保護に関する誓約書(会社所定の様式)
(3) 身元保証書(会社所定様式)
(4) 住民票記載事項証明書
(5) 給与取得者の扶養控除等(異動)申告書
(6) 前勤務先の所得税源泉徴収票(暦年内に前職のある者)
(7) 年金手帳(20歳以上の者)
(8) 雇用保険被保険者証(前職のある者)
(9) その他会社が必要と認める書類

2 前項の提出書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面でこれを届け出なければならない。

3 第2項の規定に基づき会社に提出された書類は、次の各号の目的のために利用する。
(1) 配属先の決定
(2) 昇降給の決定
(3) 賃金、賞与並びに退職金の決定及び支払い
(4) 所得税及び社会保険料の控除
(5) 人事異動(出向及び転籍を含む。)の可能性や希望の把握
(6) 教育管理
(7) 表彰及び懲戒
(8) 退職及び解雇
(9) 災害補償
(10) 健康管理
(11) その他会社の人事政策及び雇用管理の目的を達成するために必要な事項

※解説

①入社誓約書
履歴書、職務経歴書、面接時の発言が真実である旨や労働契約を遵守することを誓約していただくものです。

②個人情報保護に関する誓約書 
職務を行う上で知りえた、顧客情報等の個人情報を漏洩しないことを誓約していただく書類です。

③身元保証書
入社前に本人が申告した内容を、従業員のご両親などに保障して頂く書類です。
性善説の立場からすると、従業員を信用していない、少々きつい会社であるといるイメージを与えてしまう気がして、個人的には、必要性を疑問視する書類ですが、不祥事に対する責任追及や損害賠償を従業員本人に代わって負ってもらうえる方の確保と、責任を持って職務にあたるといった従業員の自覚を促す目的で作成を推奨している社労士も少なくありません。

④住民票記載事項証明書
住所確認のために提出を求めます。住所確認書類として住民票や戸籍謄本は、採用者の門地・社会的身分に直結する可能性がある事項(本籍)が含まれているので差別的取り扱いの誤解を招くおそれがあるので適切ではありません。

⑤給与取得者の扶養控除等(異動)申告書
所得税の計算や健康保険の被扶養家族の確認のために必要となる書類です。

⑥前勤務先の所得税源泉徴収票
前勤務先から支払われた給与額と納付した源泉所得税の額を通算するために必要となる書類です。

⑦年金手帳(20歳以上の者)
厚生年金と健康保険に加入する際に必要な基礎年金番号を確認するための書類です。

⑧雇用保険被保険者証
雇用保険番号を把握するために必要となる書類です。

⑨その他会社が必要と認める書類
給与の支払いを口座振込みにする場合の給与振込口座の指定申告書や
通勤途中の事後が発生した場合の労災保険の適用に備える為の通勤経路申告書など。

第11条(身元保証)

1 身元保証人は、独立の生計を営んでいる成年者であって会社が適当と認める者2名とし、うち1名は、親権者又は親族人とする。ただし、これに該当する者がいないときは、会社が身元保証人としてふさわしいと認めた者1名を身元保証人とすることができる。

2 身元保証の期間は5年間とし、会社が特に必要と認めた場合、その身元保証の期間の更新を求めることができる。

3 従業員が会社の規則又は指示を適切に遵守しなかったことにより会社に損害を与えたときは、会社は身元保証人に対し、その損害を賠償させることができる。

4 会社は、従業員に次の各号のいずれかの事情が生じたときは、身元保証人に対しその旨を遅滞なく通知するものとする。

(1) 従業員の職務遂行が不適切又は不誠実であることにより、身元保証人の責任問題を引き起こすおそれがあると認められるとき
(2) 従業員の業務・業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度又は勤務地の異動により、身元保証人の従業員に対する監督が困難になり、又は責任が加重されるおそれがあると認められるとき

5 身元保証人は、前項の通知を受けた場合、将来に向かって身元保証契約を解除することができる。

6 従業員が身元保証人を変更するときは、第1項の要件を具備する者を選任し、速やかに会社と身元保証契約を締結する手続きを行わなければならない。

※身元保証書提出を求める場合、その内容について定めた規定です。

第12条 (労働条件の明示)

会社は、従業員との労働契約の締結に際しては、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を明らかにするための労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする。

第13条 (試用期間)

1 新たに採用した者については、採用の日から3か月間を試用期間とする。ただし、会社が適当と認めるときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。

2 試用期間中に従業員として不適格と認められた者は、解雇することがある。

3 試用期間は、勤続年数に通算する。

第14条(本採用拒否)

1 試用期間中の従業員が次の各号のいずれかに該当し、従業員として不適格であると認めるときは、会社は、採用を取り消し、本採用を行わない。
(1) 遅刻・早退及び欠勤が多い、又は休みがちである等、出勤状況が悪いとき。
(2) 所属長の指示に従わない、同僚との協調性がない、仕事に対する意欲が欠如している、又は勤務態度が悪いとき。
(3) 必要な教育は施したが会社が求める能力に足りず、かつ、改善の見込みも薄い等、能力が不足すると認められるとき。
(4) 暴力団員や暴力団関係者と関わりがあることが判明したとき。
(5) 採用選考時又は採用決定時の提出書類に偽りの記載をし、又は面接時において事実と異なる経歴等を告知していたことが判明し、会社との信頼関係を維持することが困難になったとき。
(6) 必要書類を提出しないとき。
(7) 健康状態(精神の状態を含む。)が悪いとき。
(8) 会社の従業員としてふさわしくないと認められるとき。
(9) 服務規律その他この規則の規定に従わない又は違反したとき。
(10) その他前各号に準ずる事由又は解雇事由に該当するとき。

2 採用の取消しは、試用期間満了前であっても行うことができる。この場合において、これが解雇に該当し、採用の日から14日を経過していたときは、第102条(解雇予告)の規定を準用する。

第3章 労働時間、休憩及び休日

第15条(この章における用語の定義と適用範囲)

1 この章における用語の定義は、次の各号に定める通りとする。
(1) 所定労働時間…会社が定める原則の始業時刻から終業時刻までの時間であって、会社の指揮命令に基づく業務を行うべき時間をいう。
(2) 法定労働時間…労働基準法により定められた1週間につき40時間まで、及び1日につき8時間までの労働時間をいう。
(3) 始業時刻…会社の指揮命令に基づく業務を開始すべき時刻をいう。
(4) 終業時刻…会社の指揮命令に基づく業務を終了すべき時刻をいう。
(5) 休憩時間…労働時間の途中に与える従業員が自由に利用できる時間をいう。
(6) 所定外労働(残業)…会社の所定労働時間を超える労働をいう。
(7) 時間外労働…1週間につき40時間又は1日につき8時間を超える労働をいう。
(8) 休日出勤…第28条の会社の休日における労働をいう。
(9) 休日労働…法定休日における労働をいう。
(10) 深夜労働…午後10時から翌日の午前5時までの労働をいう。
(11) 1週間…日曜日から起算する連続した7日間をいう。

2 パートタイマー、嘱託社員、短時間正社員については、本節の規定の一部を適用せず、別に定めるところによる。

第16条 (所定労働時間、始業・終業時刻)

1 所定労働時間(休憩時間を除く。以下同じ。)は、原則として、1週間については40時間<○時間○分>とし、1日については8時間<○時間○分>とする。
2 始業時刻及び終業時刻は次のとおりとする。
(1) 始業時刻…午前9時00分
(2) 終業時刻…午後6時00分

3 従業員は、始業時刻に業務を開始できるよう余裕をもって出勤しなければならない。また、終業時刻(第23条(所定外労働及び休日出勤)の規定により所定外労働を行うときはその終了時刻)までに業務が終了するよう職務に専念しなければならず、業務終了後は、速やかに退社しなければならない。

4 第1項及び第2項の規定にかかわらず、パートタイマー等の所定労働時間については、業務の態様、本人の希望に応じて、個別労働契約により定めることができる。

<休憩時間を含めて「所定労働時間」を定める場合>

第○条 (所定労働時間)
1日の所定労働時間は8時間30分として、その中に45分間の休憩を含める。

<所定労働時間と休憩時間を合わせて規定した場合>

第○条 (所定労働時間)
就業時間は、次のとおりとする。
(1) 本社に勤務する従業員の所定労働時間は8時間とし、60分を休憩時間とする。また、1週間の所定労働時間は40時間とする。
(2) 店舗に勤務する従業員の所定労働時間は7時間45分とし、75分を休憩時間とする。また、1週間の所定労働時間は、労使協定を締結のうえ、1年単位の変形労働時間制を採用し、1年を平均して40時間以内とする。

<所定労働時間と休憩時間を合わせて規定した場合2>

第○条 (労働時間及び休憩時間)
始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。始業とは出社及び退社の時刻ではなく、業務を開始する時刻であり、終業とは終了時刻とする。

始業、終業時間 休 憩 時 間
始業 午前8時30分
終業 午後5時30分 午前10時00分から15分間
午後 0時00分から60分間
午後 3時00分から15分間

1日の所定労働時間は、実労7時間30分とする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により変更することがある。また所定労働時間を超えて、時間外労使協定の範囲内で労働を命じることがある。

第17条 (変形労働時間制)

会社は、業務の必要があるときは、この規則を変更したうえで、労使協定を締結し、又は労使委員会の決議を行い、労働基準法に定める変形労働時間制、フレックスタイム制を採用することができる。

<1年単位の変形労働時間制を採用する場合>

第○条 (1年単位の変形労働時間制における所定労働時間等)
1 前条にかかわらず1年単位の変形労働時間制を適用する従業員の所定労働時間は、1年単位の変形労働時間制に関する労使協定で定めた起算日から1年間(対象期間)を平均して1週間当たり40時間以内とする。

2 前項における従業員の始業時刻及び終業時刻は、会社が毎年、労使協定で定めた起算日の30日前までに作成し各従業員に通知する年間勤務カレンダーによるものとする。

3 前項の年間勤務カレンダーは、1年を通常期間と特定期間に区分し、それぞれの始業時刻・終業時刻及び休憩時間は次のとおりとする。
(1) 通常期間(1日6時間30分)
始業・終業時刻 休憩時間
始業10時00分 12時00分から13時00分まで
終業17時30分
(2) 特定期間(1日8時間30分)
始業・終業時刻 休憩時間
始業9時00分 12時00分から13時00分まで
終業18時30分

<区分期間を設けて1年単位の変形労働時間制を採用する場合>

第○条 (1年単位の変形労働時間制)
1 所定労働時間は、労使協定を締結し、一会計年度の初日から末日までの1年間を対象期間とする1年単位の変形労働時間制によることができる。この場合には、1年間を平均して1週間当たり40時間以内の範囲で所定労働日、所定労働日ごとの始業及び終業の時刻を定めるものとする。

2 前項の規定による所定労働日、所定労働日ごとの始業及び終業の時刻は、1か月ごとに月間勤務カレンダーで定めるものとし、当該月間勤務カレンダーは、各該当月の30日前までに文書で従業員へ通知するものとする。

第18条 (始業、終業時刻等の変更)

交通ストその他やむを得ない事情がある場合又は業務上の必要がある場合は、全部又は一部の従業員について、始業、終業の時刻及び休憩時間を変更することができる。この変更は、所定労働時間の範囲内において行う。

第19条 (休憩時間)

<休憩時間単独での規定例1>

第19条 (休憩時間)
1 会社は、午後0時から午後1時まで、1時間の休憩を与える。

2 会社は、業務上の必要があるときは、前項の休憩時間の時間帯を繰り上げ、又は繰り下げることがある。

<休憩時間単独での規定例2>

第19条(休憩時間)
1 会社は、労働時間の途中(午後0時から午後3時までの時間帯とする。)に1時間の休憩を与える。

2 前項の休憩は、<労使協定を締結し、>交替で与えるものとする。

<残業時に休憩時間を加算する場合>

第○条 (休憩時間)
1 休憩時間は、午後0時15分から午後1時までの45分とする。

2 時間外労働命令により、1日の所定労働時間が8時間を超えると見込まれるときは、本来の終業時刻から15分間を追加の休憩とする。この場合は、時間外労働は、休憩終了から開始しなければならない。

第20条 (休憩時間の利用)

従業員は、前条の休憩時間を自由に利用することができる。ただし、職場秩序及び風紀を乱す行為、施設管理を妨げる行為その他服務規律に反する行為を行ってはならない。

第21条 (事業場外の労働)

1 主として事業場外で労働する従業員の労働時間は、従業員の申告に基づく業務日報により算定する。ただし、労働時間を算定し難いときは、その日は所定労働時間労働したものとみなす。

2 出張中の従業員について、労働時間を算定し難いときの労働時間の算定は、前項ただし書を適用する。

<追加規定:通常労働時間みなしを採用する場合>

3 事業場外労働に関する労使協定に定める対象従業員については、労働時間の全部又は一部について事業場外で業務を行う場合、通常の業務の遂行に必要とされる時間を当該労使協定に定め、事業場外での業務については、その時間の労働を行ったものとみなす。

4 前項における通常の業務の遂行に必要とされる時間と事業場内での労働時間の合計が法定労働時間を超える場合は、その超えた時間については通常の労働の賃金に2割5分の割増賃金を加算して支払うものとする。

第22条 (休 日)

1 休日は、次のとおりとする。
(1) 毎週日曜日及び国民の祝祭日
(2) 夏季休日4日間・年末年始5日間
(3) その他会社が指定する日
(4) 会社カレンダーがあるときはその定めによる
(5) 業務の都合により休日を変更することがある。
(6) 1年単位又は1ヶ月単位の変形労働時間制を採用するときは休日はその協定によるものとする。
(7) 1週間に2日以上の休日があるときは、その中の1日を法定休日とする。

<規定例1:法定休日の曜日を特定する場合>

2 法定休日は○曜日とする。

<規定例2:法定休日の曜日を特定しない場合>

2 法定休日は、1週間における最後の1日の休日とする。

<追加規定:振替休日制度を設ける場合>

3 会社は、業務上の都合によりやむを得ない場合は、あらかじめ振替休日(休日に振り替えられる労働日をいい、できる限り同一週内の日を指定するものとする。)を指定して、当初休日とされた日に労働させることができる。あらかじめ振替休日を指定できないときは、第26条(代休)に定めるところによる。

4 前項の休日の振替は、月の初日を起算日とする4週間に4日の休日が確保できる範囲で行うものとする。

5 当初休日とされた日に労働する場合、当該日は通常の労働日として、原則として第  条に定める所定労働時間により業務を行わなければならない。

6 振替休日の指定は、振替休日指定書によるものとし、原則として振替休日の再振替は認めない。

<1年単位の変形労働時間制を採用した場合>

第○条 (会社の休日)
1 1年単位の変形労働時間制の適用を受ける従業員の休日は、第○条で定める年間休日カレンダーにおいて定める。

2 年間休日カレンダーにおいて定める休日は、対象期間の初日を起算日とする1週間ごとに1日以上、1年間に85日以上となるようにしなければならない。

3 前項の月間休日カレンダーは、少なくとも対象期間の初日の30日前までに各従業員に周知するものとする。

<夏季休暇を有給休暇とする場合>

第○条 (夏季休暇)
1 毎年8月は、年次有給休暇を計画的に付与する期間とする。付与日数、付与する時季等は、毎年労使協定で定めるものとする。

2 前項の労使協定で定められた休暇の日は一斉休業とし、従業員の個人的事情により変更することはできない。

第23条 (所定外労働及び休日出勤)

1 会社は、業務の都合により所定外労働又は休日出勤を命ずることができる。この場合における時間外労働及び休日労働については、会社はあらかじめ従業員の過半数を代表する者と締結する労使協定(以下「36協定」という。)の範囲内でこれを行う。

2 臨時的な業務の必要があるときは、36協定の特別条項に定めるところにより、1か月及び1年間についての労働時間の延長時間を更に延長することができる。この場合における、更に延長する時間数、延長する場合の手続き、当該延長時間に係る割増賃金率等は、36協定に定めるところによる。

3 所定外労働及び休日出勤は、業務命令として、従業員は、正当な理由なくこれを拒否することはできない。

4 所定外労働及び休日出勤は、所属長の命令に基づき行うことを原則とする。ただし、従業員が業務の遂行上必要と判断した場合は、事前に会社又は所属長に申請をし、許可を受けて行うことができる。

5 前項にかかわらず、事前に許可を受けることができないときは、事後直ちに届け出てその承認を得なければならない。

6 第4項の命令若しくは許可申請又は前項の届出は、所定外労働・休日出勤命令・許可申請書により行う。

第24条 (災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)

災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合は、36協定の定めによらず、所轄労働基準監督署長の許可を受け又は事後に遅滞なく届け出ることにより、その必要の限度において時間外労働又は休日労働を命ずることができる。

第25条 (年少者及び妊産婦の時間外労働等)
1 満18歳未満の者に対しては、原則として、時間外労働、休日労働及び深夜労働を命じない。

2 妊娠中又は産後 1年を経過していない者が請求した場合は、時間外労働、休日労働及び深夜労働を命じない。

第26条 (代 休)

1 会社は、所定外労働をさせたとき、又は振替休日の手続によらず休日に出勤させたときは、当該所定外労働の時間数分又は休日出勤の日数分の休暇(以下「代休」という。)を与えることができる。

2 前項の代休の時間及び日は、無給とする。ただし、当該代休の付与に当たり、時間外労働があるときは時間外割増賃金のうち割増部分(0.25等)の額を、休日労働があるときは休日割増賃金のうち割増部分(0.35)の額を、深夜における労働があるときは深夜割増賃金(0.25)を支払う。

3 代休は、従業員の申請により付与するものとする。

4 代休を取得しようとする従業員は、取得希望日の1週間前までに、会社に申請しなければならない。

第27条 (割増賃金を支払う場合)

1 所定外労働をさせた場合において、次の各号に掲げる時間があるときは、第48条(割増賃金の額)に定めるところにより、時間外割増賃金を支払う。
(1) 1日については、8時間を超えて労働した時間
(2) 1週間については、40時間を超えて労働した時間(前号の時間を除く。)

<追加規定:変形労働時間制を採用する場合>

(3) 変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(前各号の時間を除く。)

2 前項の時間を計算するときは、1日又は1週間の労働時間は実労働時間を用いるものとし、欠勤及び早退のほか、年次有給休暇(時間単位年休を含む。)及び特別休暇の時間を含めない。

3 法定休日に労働させた時間があるときは、第49条(割増賃金の額)に定めるところにより、休日割増賃金を支払う。また、法定休日以外の休日に労働させた時間があるとき(振替休日を与えた場合を含む。)であって、第1項第2号に該当するときは、第  条に定めるところにより、時間外割増賃金を支払う。

4 労働時間が深夜の時間帯(午後10時から翌日の午前5時までをいう。)にあるときは、第49条に定めるところにより、深夜割増賃金を加算して支払う。

5 第29条(適用除外)に該当する者には、本条(深夜割増賃金を除く。)は適用しない。

<追加規定:1年単位の変形労働時間制を採用する場合>

6 1年単位の変形労働時間制を適用する従業員のうち、異動、休職及び退職等により勤務した期間が当該対象期間より短い従業員については、当該従業員が勤務した期間を平均して1週間当たり40時間を超えて勤務させた時間(第1項の規定による割増賃金を支払った時間を除く。)に対して、通常の労働の賃金の0.25の割増賃金を支払うものとする。

第28条 (育児等を行う従業員の所定外労働等)

1 3歳に満たない子を養育する従業員が当該子を養育するために請求した場合には、第  23条(所定外労働及び休日出勤)の規定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定外労働をさせることはない。

2 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため、又は要介護状態にある対象家族を介護する従業員が当該家族を介護するために請求した場合には、第23条(所定外労働及び休日出勤)の規定及び36協定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、時間外労働は、1か月について24時間、1年について150時間を限度とする。

3 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため、又は要介護状態にある対象家族を介護する従業員が当該家族を介護するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、深夜の時間帯に労働させることはない。

4 この規則において「対象家族」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母及び子(従業員が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む。)並びに配偶者の父母とする。

5 本条の規定による請求ができる従業員の範囲、請求方法、請求の時期、効力期間及びその他の取扱いについては、育児・介護休業規程及び労使協定の定めるところによる。

第29条 (適用除外)

1 監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者については、労働時間、休憩及び休日の規定は適用しない。

2 前項に該当する従業員については、労働時間の管理は自ら行うものとするが、当該従業員の健康確保のため、会社はその者の在社時間等を管理するものとする。

第2節 休 暇

第30条 (年次有給休暇)

1 会社は従業員に対し、本人からの請求に基づき労働基準法に定める年次有給休暇を与える。

2 従業員は、年次有給休暇を取得しようとするときは、あらかじめ時季を指定して請求するものとする。ただし、会社は、事業の正常な運営に支障があるときは、従業員の指定した時季を変更することがある。

3 前項の規定にかかわらず、従業員代表との書面による協定により、各従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して与えることがある。

解説

年次有給休暇は、6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対して、最低10日を与えなければなりません(労基法第39条第1項)。
また、1年6か月を超えて継続勤務した従業員に対して、法で定める日数を与えなければなりません(労基法第39条第2項)。

週所定労働時間が30時間未満であって、週所定労働日数が4日以下又は1年間の所定労働日数が216日以下の従業員(以下「所定労働日数が少ない者」といいます。)に対しては、通常の従業員の所定労働日数との比率を考慮して、労基法施行規則で定める日数の年次有給休暇を与えればよいこととされています(労基法第39条第3項)。

出勤率が8割以上かどうか計算する場合、業務上傷病し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間、産前産後の休業期間、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間及び年次有給休暇を取得した期間は出勤の扱いにしなければなりません。

出勤率が8割に達しなかったときの翌年は、年次有給休暇を与えなくても差し支えありません。なお、この場合、年次有給休暇を与えなかった年の出勤率が8割以上となったときは、次の年には勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を与える必要があります。

例)
最初の6ヶ月:8割以上出勤したので10日発生
次の1年:8割以上出勤しなかったので0日発生
さらに次の1年:8割以上出勤したので12日発生

年次有給休暇の取得時季については、従業員側に時季指定権があります。指定された時季に休暇を与えると、会社として必要な工夫をしてもなお事業の正常な運営が妨げられる場合には、会社に休暇時季の変更権が認められています。

年次有給休暇の計画的付与の制度は、季節的な業務の繁閑を考慮して、連続休暇の導入・拡大などに活用できます。

精皆勤手当や賞与の算定に際し、年次有給休暇を取得した日を欠勤と同様に取り扱うなど不利益な取扱いをすることはできません(労基法第136条)。

第31条(その他の休業等)

1 従業員は、個別の法律の定めるところにより、産前産後休暇、母性健康管理の為の休暇等、生理休暇、育児時間、育児休業・看護休暇、介護休暇、介護休業、公民権行使の時間を利用することができる。

2 本条の休暇等により休んだ期間については、原則として無給とする。但し、産前産後休暇・育児休業・介護休業のときは、健康保険・雇用保険に加入している人は基準を満たしていればその制度から所得保障を受けることができるものとする。

※解説

【産前産後の休業】
1 産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)の休業は、女性従業員からの請求があったときには、与えなければなりません。
2 産後休業(8週間)は女性従業員から請求がなくても与えなければなりません(労基法第65条)。
ただし、産後6週間を経過した女性から請求があったときは、医師が支障ないと認めた業務には就かせることができます。

【母性健康管理のための休暇等】
妊娠中又は出産後1年を経過しない女性従業員から、所定労働時間内に、母子保健法に基づく健康診査又は保健指導を受けるため、通院に必要な時間について、休暇の請求があったときは、通院休暇を与えることが男女雇用機会均等法により義務付けられています。

【育児時間等】
育児時間は、生後満1年に達しない子を育てている女性に、授乳その他育児のために世話をする時間として、一般の休憩時間とは別に休憩時間のほか1日について2回、1回について30分の育児時間を請求できるよう労基法で規定されているものです。(労基法第67条)。

【育児休業等】
育児休業については、育児・介護休業法により、1歳未満の子を養育する従業員(男女問わず)から育児休業の申出があった場合には、期間を定めて雇用される者等一定の場合を除き、事業主はその申出に応じ、休業させなければなりません。

また、育児休業をしない従業員についても本人の申出に基づき勤務時間の短縮等の措置を講じなければならないこととされています。

なお、育児期間中の社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)の被保険者負担分は、従業員から会社を通じ社会保険事務所に申出をすれば免除されます。

【介護休業等】
介護休業については、育児・介護休業法により、要介護状態にある対象家族を介護する労働者から介護休業の申出があった場合には、期間を定めて雇用する者等一定の場合を除き、事業主はその申出に基づき休業させなければなりません。

第32条(特別休暇制度)

1 従業員が次の事由に該当し、本人の請求があった場合、次の各号に定める日数連続した期間の特別休暇を与える。なお所定の休日の重複した場合は以下の日数に含めないこととする。

① 本人が結婚したとき
結婚式または入籍のいずれか遅い日より起算して6ヶ月以内の5労働日    
                 
②妻が出産するとき
出産予定日または出産日を含む2労働日 
                     
③配偶者、子又は父母が死亡したとき
死亡した日から5労働日

④兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき   
  死亡した日から2労働日

⑤その他、会社が必要と認めるとき
  
2 特別休暇を受けようとする従業員は、事前または事後に速やかに届けでて会社の承認を得なければならない。

3 特別休暇の間の賃金は、福利厚生制度の一環として原則有給とするが、会社の都合により無給とすることもある。

特別休暇は労働基準法上、付与しなければならないものではありませんが、慣習などから任意に付与できるもので、主に慶弔休暇がこれに該当します。
特別休暇の賃金は、通常は有給扱いとしているケースが多いですが、感染症による自宅待機命令のように賃金を支払うか支払わないか判断が難しいグレーなケースに備え3の規定を設けています。

第33条 (会社都合による休業)

1 経営上又は業務上の必要があるときは、会社は従業員に対し休業(以下「会社都合による休業」という。)を命ずることができる。会社都合による休業を命じられた者は、勤務時間中、自宅に待機し、会社が出社を求めた場合は直ちにこれに応じられる態勢をとらなければならず、正当な理由なくこれを拒否することはできない。

2 会社都合による休業の期間は、原則として、第57条(休暇等の賃金)第4項の休業手当の額を基準に定める賃金を支払うものとするが、事情によってその額を増額し、又は不可抗力等会社の責めに帰さない事情があるときに限り減額することができる。また、会社都合による休業に代えて在宅勤務又は臨時の勤務場所への一時異動を命ずることができる。

第4章 服務規律

第34条 (服 務)

従業員は、以下の遵守事項を守り、職務上の責任を自覚し、誠実に職を遂行するとともに、職場の秩序の維持に努めなければならない。

※服務規律に関することは、必ず定めなければならないものでありませんが、定めをした場合には、それを就業規則に記載する必要があります。会社の秩序を維持するために必要不可欠のものですから、勤務態様に合わせ、必要な事項を規定しておくようにしてください。

第35条 (遵守事項)

従業員は、次の事項を守らなければならない。
(1) 業務上の指揮命令および指示・注意に従うこと。
(2) 正当な理由なく遅刻、早退及び欠勤等をしないこと。
(3) 上司による命令や許可を得ず時間外、深夜、休日・休暇日の労働を行わないこと。
(4) 建設工事の現場においての業務に従事する場合は、保護帽等安全衛生のための保護具を着用し、整理、整頓、清潔(3S)に努めること。
(5) 勤務中は職務に専念し、みだりに勤務の場所を離れないこと。
(6) 事業関係の建設物、施設、材料又は機械器具その他物品は大切に取り扱うとともに、許可なく職務以外の目的で使用したり持ち出したりしないこと。
(7) 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受けるなど不正な行為を行わないこと。
(8) 会社の名誉又は信用を傷つける行為をしないこと。
(9) 会社、取引先等の機密(個人情報を含む)を漏らさないこと。
(10) 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。
(11) 性的な言動によって他の労働者に不利益を与えたり、就業環境を害さないこと
(12) その他酒気をおびて就業するなど従業員としてふさわしくない行為をしないこと
(13) 常に健康に留意し、健康な状態で出社できるよう心掛けること。


⑩ 建設業に関する国家資格者等の名義貸しを防止するための服務規律です。

⑪ 均等法第21条によって、職場における「セクシュアルハラスメント」を防止するための事業主の配慮が義務付けられ、事業主が配慮すべき事項についての指針(平成10年労働省告示第20号)が定められております。この指針に基づき、その防止についての企業の方針を明確にし、従業員に周知・啓発するため服務規律として定めたものです。

第36条 (出退勤)

従業員は、始業、終業、休憩の時刻を遵守し、会社の定める方法によって、本人が直接出勤及び退勤の時刻を記録しなければならない。

第37条 (遅刻、早退、欠勤等)

1 従業員が、遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する ときは、事前に申し出て許可を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前 に申し出ることができなかった場合は、事後速やかに届け出なければならない。

2 傷病のため欠勤が引き続き4日以上に及ぶときは、医師の診断書を提出しなければなら ない。

第5章 定年、退職

退職等労働契約の終了に関することは、必ず就業規則に記載しなければなりません。労働者に重大な影響を及ぼすものですので、手続きや理由などについてわかりやすく定めることが必要です。

第38条(定年等)

1 従業員が満60歳に達した日を定年とし、60歳に達した日の属する年度の末日を定年退職日として退職とする。

<規定例1:希望者全員再雇用の場合>
2 前項にかかわらず、定年に達した従業員が希望する場合は、最長65歳まで嘱託社員として継続雇用するものとする。

<規定例2:対象者基準を用いる場合>
2 前項にかかわらず、定年に達した従業員が希望する場合は、<平成25年3月31日までに締結した>継続雇用に係る対象者基準に係る労使協定に定める基準(以下「基準」という。)のいずれも満たす者については、最長65歳まで嘱託社員として継続雇用し、基準のいずれかを満たさない者については、以下の年齢(以下「基準の適用年齢」という。)まで嘱託社員として継続雇用するが、その後は雇用しない。この場合における基準の適用年齢は、次表左欄に掲げる期間ごとに定めるものとする。

生年月日による区分 年 齢
昭和28年4月2日から昭和30年4月1日までの間に生まれた者 61歳
昭和60年4月2日から昭和32年4月1日までの間に生まれた者 62歳
昭和32年4月2日から昭和34年4月1日までの間に生まれた者 63歳
昭和34年4月2日から昭和36年4月1日までの間に生まれた者 64歳

※継続雇用制度は、再雇用を希望する者全員を対象としなければなりませんが、平成25年3月31日までは、労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準を設けることが出来ました。

平成25年4月1日以降は、定年退職時に基準を適用することは出来なくなりましたが、平成37年3月31日までの間は、一定の年齢以上の継続雇用について、この「継続雇用に係る対象者基準に係る労使協定に定める基準」を適用することができます。

3 労使協定に定める基準のいずれかを満たさない場合であっても、高度な技術・技能を有する等、会社が特に必要と認めた者については、雇用継続の対象とすることができる。

4 嘱託社員としての労働契約は、最長1年間の有期労働契約とし、会社は、当該労働契約の更新に際しては、次の各号に掲げる判断基準により、次期契約の有無を判断するものとする。
(1) 契約期間満了時の業務量
(2) 本人の勤務成績、態度
(3) 本人の能力
(4) 会社の経営状況

5 更新後の労働契約に係る労働条件は、更新の都度見直すものとし、嘱託社員が会社の提示する労働条件に合意した場合に限り、新たな労働契約を締結するものとする。

6 嘱託社員として継続雇用されることを希望する者は、継続雇用規定に定めるところにより、継続雇用申請書を提出しなければならない。

第39条(継続雇用しない事由)

前条の規定にかかわらず、従業員が希望する場合であっても、次の各号のいずれかに該当する者については、定年をもって退職とするものとし、継続雇用は行わない。
(1) 精神又は身体に故障があるか、又は虚弱、傷病、その他の理由により職務に堪えられない、又は労務提供が不完全であると認められるとき。
(2) 協調性がなく、注意及び指導をしても改善の見込みがないと認められるとき。
(3) 職務の遂行に必要な能力を欠き、かつ、他の職務に転換させることができないとき。
(4) 勤務意欲が低く、これに伴い、勤務成績、勤務態度その他の業務能率全般が不良で職務に適さないと認められるとき。
(5) 正当な理由のない遅刻及び早退、並びに欠勤及び直前の休暇請求が多く、労務提供が不完全であると認められるとき。
(6) 特定の地位、職種又は一定の能力を条件として雇い入れられた者で、その能力又は適格性が欠けると認められるとき。
(7) 事業の縮小その他会社にやむを得ない事由がある場合で、かつ、他の職務に転換させることができないとき。
(8) 重大な懲戒事由に該当するとき。
(9) 前各号に該当しない懲戒事由に該当する場合であって、改悛の情が認められなかったり、繰り返したりして、改善の見込みがないと認められるとき。
(10) 非違行為が繰り返し行われたとき。
(11) 会社の従業員としての適格性がないと判断されるとき。
(12) 天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となり、雇用を維持することができなくなったとき。
(13) 本人が死亡したとき。
(14) 休職期間が満了しても休職事由が消滅しないとき。
(15) 本人の都合により退職を願い出たとき。
(16) 役員に就任したとき。
(17) 従業員の行方が不明となり、1か月以上連絡がとれない場合であって、解雇手続をとらないとき。
(18) その他、退職につき労使双方が合意したとき。

定年とは、従業員が一定の年齢に達したことを退職理由とする制度をいいます。
この場合、退職時期をいつにするのかについては、誕生日、誕生日の属する月末、誕生日の属する年度末等の方法があります。

雇用保険では、60歳以上65歳未満の被保険者で、各暦月の賃金額が60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下した状態で雇用されている者に対しては、一定の要件のもとに最高で各暦月の賃金の15%相当分を給付することなどを内容とする高年齢雇用継続給付制度が実施されています。

厚生年金保険では、60歳以上65歳未満の被保険者で、標準報酬月額が一定の基準以下の場合、在職老齢年金を支給する制度があります。

これらの制度を利用することにより人件費削減につながります。

第40条(退 職)

従業員が、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは退職とし、次の各号に定める事由に応じて、それぞれ定められた日を退職の日とする。
(1) 本人が死亡したとき。…死亡した日
(2) 定年に達したとき。…定年年齢に達した日の属する年度の末日
(3) 休職期間が満了しても休職事由が消滅しないとき。…期間満了の日
(4) 本人の都合により退職を願い出て会社が承認したとき。…会社が退職日として承認した日
(5) 前号の承認がないとき。…退職届を提出して2週間を経過した日
(6) 役員に就任したとき。…就任日の前日
(7) 従業員の行方が不明となり、1か月以上連絡がとれない場合であって、解雇手続をとらないとき。…1か月を経過した日
(8) 従業員が解雇されたとき。…解雇の日
(9) その他、退職につき労使双方が合意したとき。…合意により決定した日

<発令日をもって退職日とする場合>
第○条 (退職日)
会社が退職届を受理し、これを承認したときは、発令の日をもって退職日とする。

第41条(自己都合による退職手続)

1 従業員が自己の都合により退職しようとするときは、原則として退職予定日の1か月前までに、遅くとも2週間前までに、会社に申し出なければならない。退職の申出は、やむを得ない事情がある場合を除き、退職届を提出することにより行わなければならない。

2 退職の申出が、所属長により受理されたときは、会社がその意思を承認したものとみなす。この場合において、原則として、従業員はこれを撤回することはできない。

3 退職を申し出た者は、退職日までの間に必要な業務の引継ぎを完了しなければならず、退職日からさかのぼる2週間は現実に就労しなければならない。これに反して引継ぎを完了せず、業務に支障をきたした場合は、懲戒処分を行うことができる。

4 業務の引継ぎは、関係書類を始め保管中の金品等及び取引先の紹介その他担当職務に関わる一切の事柄につき確認のうえ、確実に引継ぎ者に説明し、あるいは引き渡す方法で行わなければならない。

<引継ぎを行わなかった場合>
第○条(業務の引継義務)
従業員は、退職又は解雇の際は、遅滞なく業務引継書を起案するとともに、会社の指定する者に業務の引継ぎを行わなければならない。これに反して引継業務を行わない場合は退職金を減額することができる。

※期間の定めのない雇用の場合、従業員が本人の都合により退職しようとするときは、いつでも退職を申し出ることができます。また、この規定によれば、退職の申出をした日から起算して14日を経過したときは、会社の承認の有無に関わらず退職となります。

期間を定めた契約が反復更新され、実質的に期間の定めのない労働関係と認められる場合、更新の拒絶をするには、解雇として扱う必要がある場合がありますので注意してください。

女性従業員が結婚、妊娠、出産したこと、育児休業をしたこと及び介護休業をしたことを退職の理由として定めることはできません。(均等法第8条、育児・介護休業法第10条、第16条)

第42条(退職及び解雇時の手続)

1 従業員が退職し、又は第  条(解雇)の規定により解雇された場合は、会社から貸与された物品その他会社に属するものを直ちに返還し、会社に債務があるときは退職又は解雇の日までに精算しなければならない。また、返還のないものについては、相当額を弁済しなければならない。

2 従業員が、退職し、又は解雇されたときは、会社は、賃金等について次の各号に定める時期に支払うものとする。
(1) 通常の賃金……退職日を含む賃金支払期間に係る賃金支払日
(2) 臨時の賃金……原則、前号と同様。ただし、退職又は解雇した者から請求があった場合に限り、請求があった日から7日以内
(3) 退職金……退職日後1か月から2か月までの範囲内で退職金規程に定める時期

3 会社は、その他必要な手続を行う。また、従業員の権利に属する金品について返還するものとする。

4 退職し、又は解雇された従業員が、次の各号に掲げる事項のいずれかについて、退職証明書又は解雇理由証明書を請求したときは、会社は遅滞なくこれを交付するものとする。
(1) 使用期間
(2) 業務の種類
(3) その事業における地位
(4) 賃金
(5) 退職の事由(退職の事由が解雇である場合は、その事由も含む)

※労働者から使用期間、業務の種類、その事業での地位・賃金及び退職事由(解雇の場合は、その理由を含む。)について証明書を求められた場合、求められた事項について証明書を交付する義務があります。(労基法第22条)

5 退職し、又は解雇された従業員は、退職し、又は解雇された後もその在職中に行った職務、行為並びに離職後の守秘義務に対して責任を負わなければならない。

6 退職し、又は解雇された従業員が、前項に違反し、会社が損害を受けたときは、その損害を賠償しなければならない。

7 定年退職、自己都合退職、解雇の区別を問わず、従業員は退職又は解雇となる場合には、退職日の30日前までに、退職後の秘密保持及び競業避止義務に関する誓約書(社内様式第26号)を会社に提出しなければならない。

8 前項の誓約書を提出しないときは、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。

第43条 (退職後の競業避止義務)
従業員のうち役職者、又は企画の職務に従事していた者が退職し、又は解雇された場合は、会社の秘密保全の観点から、会社の承認を得ずに離職後6か月間は、日本国内において会社と競業する業務を行ってはならない。また、会社在職中に知り得た顧客と離職後1年間は、会社と競合する取引をしてはならない。

第6章 賃  金

※賃金に関することは、必ず就業規則に記載しなければなりません。
労基法により、賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り、支払いの時期並びに昇給に関することは就業規則に必ず記載しなければならない事項とされています。

第44条 (賃金の構成)

賃金の構成は次のとおりとする。
(1) 基本給(1か月の基本賃金)

(2) 諸手当
① 役職手当(役職における役割に対する賃金)
② 通勤手当(1か月の通勤交通費として支給する賃金)
③ 資格手当

(3) 割増賃金
① 時間外割増賃金(時間外労働に対する割増賃金)
② 休日割増賃金(休日労働に対する割増賃金)
③ 深夜割増賃金(深夜労働に対する割増賃金)

※建設業の事業所では基本給のほかに手当として家族手当、通勤手当、あるいは、一定の資格を有する者に資格手当、特殊技能を有する者に対する技能手当など特別な業務に関連した特別手当を設けることが多いようです。

第45条 (基本給)

基本給は、従業員各人の業務の内容、責任の程度、成果、意欲、遂行能力、経験及び年齢等を総合考慮のうえ決定する。

第46条 (役職手当)

1 役職手当は、次の職位にある者に対し支給する。
(1) 部長  月額▼▼円
(2) 課長  月額▼▼円
(3) 係長  月額▼▼円
(4) 主任  月額▼▼円

2 課長以上の職位にある者に支給する役職手当には、あらかじめ深夜割増賃金を含めることができる。

3 役職手当は支給要件に該当しなくなったときは支給しないものとする。

<役職手当に定額残業代を含める場合>
第○条 (割増賃金を含めた役職手当)
役職手当のうち、▼▼円は、時間外・休日・深夜割増賃金として支払う。

※管理監督の地位にある者については、労働時間、休日に関する労基法の規制がないので、時間外、休日労働に対する割増手当の支給対象者から除くのが通例です。

管理監督者とは、「一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず実態に即して判断すべきものである。」とされており、これに従ってその範囲を明確に定めておく必要があります。

第47条 (通勤手当)

1 通勤に電車、バス等の交通機関を利用する従業員に対して、1か月定期代相当額を通勤手当として支給する。ただし、通勤の経路及び方法は、最も合理的かつ経済的であると会社が認めたものに限ることとし、所得税の非課税限度額を超える場合には非課税限度額を限度として支給する。

2 住居、通勤経路若しくは通勤方法を変更し、又は通勤のため負担する運賃等の額に変更があった場合には、1週間以内に会社に届け出なければならない。この届出を怠ったとき、又は不正の届出により通勤手当その他の賃金を不正に受給したときは、その返還を求め、懲戒処分を行うことができる。

3 役職手当は支給要件に該当しなくなったときは支給しないものとする。

<非課税眼度額をそのまま採用した場合>
第○条 (通勤手当の月額)
1 通勤手当は、次の各号に掲げる従業員(従業員の住居より勤務地までの距離が2㎞を超える者に限る。)に当該各号に掲げる額を支給する。
(1) 通勤のため交通機関を利用してその運賃を負担することを常例とする従業員…1か月定期代相当額(定期券を発行しない交通機関の場合は、回数乗車券等の通勤21回分の額)を支給する。ただし、その額が100,000円を超えるときは、100,000円を支給する。
(2) 自動車等を使用することを常例とする従業員…次の自動車等の使用距離(以下「使用距離」という)に応じて定める額を支給する。
① 使用距離が片道2㎞以上5㎞未満である従業員…4,000円
② 使用距離が5㎞以上10㎞未満…4,100円
③ 使用距離が10㎞以上15㎞未満…6,500円
④ 使用距離が15㎞以上25㎞未満…11,300円
⑤ 使用距離が25㎞以上35㎞未満…16,100円
⑥ 使用距離が35㎞以上45㎞未満…20,900円
⑦ 使用距離が45㎞以上…24,500円
(3) 通勤のため交通機関等を利用してその運賃を負担するほか、併せて自動車等を使用することを常例とする従業員…前二号に準じて計算した額の合算額を支給する。ただし、その額が100,000円を超えるときは、100,000円を支給する。

※所得税法の非課税限度額をそのまま規定化したものです。これを超える通勤手当は、所得税の対象となるため、この金額は通勤手当の上限額の目安となります。

第48条 (資格手当)

1 資格手当は、次の資格を有する者に対し支給する。
(1) 一級施工管理技士  月額▼▼円
(2) 二級施工管理技士  月額▼▼円
(3) 一級技能士     月額▼▼円
(4) 二級技能士     月額▼▼円

※建設現場の施工管理を行う配置技術者や建設業許可要件の一つである専任技術者になることが出来る資格を従業員さん取得してもらうモチベーションの向上のため資格手当の規定を設けることも有効です。

第49条 (割増賃金の額)

1 時間外割増賃金は、次の算式による額とする。
通常の労働時間の賃金×(1+0.25)×当該時間数 

2 休日割増賃金は、次の算式による額とする。
   通常の勤務時間の賃金×(1+0.35)×休日労働時間数

3 時間外労働又は休日労働が深夜に及んだ場合に時間外割増賃金又は休日割増賃金に加算して支払う深夜割増賃金は、次の算式による額とする。
   通常の勤務時間の賃金×0.25×深夜労働時間数

第50条 (通常の労働時間の賃金)

前条でいう「通常の労働時間の賃金」とは、次の算式による額とする。
     (基本給+役職手当)÷1か月平均所定労働時間数

<定額残業代を採用した場合>
第○条 (通常の労働時間の賃金)
基本給及び役職手当にあらかじめ時間外割増賃金相当額が含まれているときは、当該額を控除した額を通常の労働時間の賃金の額とする。

第51条 (割増賃金の適用除外)

第29条(適用除外)に該当する従業員には、第27条(割増賃金を支払う場合)に定める割増賃金は、深夜割増賃金を除き、支払わないものとする。また、役職手当に深夜割増賃金相当額が含まれるときは、別途深夜割増賃金は支払わないものとする。

第52条 (賃金の支払方法)

賃金は通貨で直接本人にその全額を支払う。ただし、従業員の同意を得たときは、その指定する金融機関等の口座への振込みにより賃金の支払いを行う。

第53条 (賃金の控除)

次に掲げるものは、賃金から控除する。
(1) 源泉所得税
(2) 住民税
(3) 健康保険料(介護保険料を含む。)及び厚生年金保険料の被保険者負担分
(4) 雇用保険料の被保険者負担分
(5)  従業員代表との書面による協定により賃金から控除することとしたもの
労使協定により賃金から控除することとしたもの

<過払い調整規定を設ける場合>
第○条 (過払い調整)
賃金に過払いが発生したときは、翌月の賃金から当該過払い分を控除することができる。

※賃金は、通貨でその全額を直接従業員に支払わなければなりません。
ただし、従業員が同意した場合は、本人の指定する銀行などの金融機関の本人口座(証券総合口座を含む)に振り込むことができます。
なお、この場合、所定賃金支払日の午前10時までに払出しができるよう措置することが必要とされています。

所得税や住民税など法令に基づいたもので従業員が負担すべきものは、賃金から控除して支払うこととなります。

また、従業員代表と書面で協定し、賃金から控除することができることとしたものについても控除することができます(例:食費、社宅・寮の使用料、各種保険料等)
(労基法第24条第1項)。

第54条 (賃金の計算期間及び支払日)

1 賃金は、前月16日から当月15日までの分について、その月の25日に支払う。ただし、賃金支払日が休日にあたるときは、その直前の休日でない日に支払う。

2 前項の定めにかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、従業員(本人が死亡したときはその者の収入によって生計を維持されていた者)の請求により、賃金支払日以前であっても既往の労働に対する賃金を支払う。

(1) 従業員又はその収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害を受けた場合
(2) 従業員又はその収入によって生計を維持する者が結婚し、又は親族の葬儀を行い、その臨時の費用を必要とする場合
(3) 従業員が死亡した場合
(4) 従業員又はその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事情により1週間以上にわたって帰郷する場合その他特別の事情があると会社が認めた場合

<賃金計算期間を暦に併せた場合>例1
第○条 (賃金の計算期間及び支払日)
賃金は、その月の初日から末日までの分については、翌月の15日に支払う。

<賃金計算期間を暦に併せた場合>例2
第○条 (賃金の計算期間及び支払日)
1 賃金は、毎月末日に締切り、翌月○日に支払う。ただし、支払日が休日に当たるときは、その前日に繰り上げて支払う。

2 日払いの場合は、その日の作業終了後に支払う。

※賃金は、毎月1回以上、一定の支払日を定めて支払うことが必要です。(労基法第24条第2項)
支払日が休日となる場合は、その前日に繰り上げ、又は翌日に繰り下げてもよいことになっていますが、ここではその前日に支払うこととしています。

第55条 (中途入社時等の場合の日割計算)

1 賃金計算期間の途中に入社、退職、休職又は復職した場合は、1日当たりの基本給を労働日数分支払うものとする。

2 諸手当の扱いについては、当該月の労働日数等を考慮してその都度判断するものとする。

第56条 (欠勤等の場合の時間割計算等)

1 欠勤、遅刻、早退又は私用外出をした場合の時間については、1日当たり又は1時間当たりの基本給に欠勤、遅刻、早退及び私用外出の合計時間数を乗じて得た額を差し引くものとする。ただし、賃金計算期間の全部を休業した場合は、賃金月額のすべてを支給しないものとする。

2 諸手当の扱いについては、当該欠勤等の期間を考慮してその都度判断するものとする。

3 本条及び前条の1日当たりの基本給は、基本給をその月の所定労働日数で除して得た額(円未満の端数は四捨五入とする。以下同じ。)とし、本条の1時間当たりの基本給は、1日当たりの基本給をその日の所定労働時間数で除して得た額とする。

※従業員が労働しなかった日、時間については賃金を支払う必要はないというノーワークノーペイの原則があります。しかし労働契約上の約束として欠勤や遅刻、相対又は使用外出をした場合の賃金の減額について、就業規則に定めておくことがトラブル回避のために望ましいといえます。

第57条 (休暇等の賃金)

1 年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支給する。

2 公民権行使の時間、産前産後の休業期間、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業及び介護休業の期間、育児時間、生理日の休暇の期間は、無給(有給)とする。

3 休職期間中は、賃金を支給しない(○か月までは○割を支給する。)。

4 会社の責めに帰すべき事由により、休業したときは、休業手当を支給する。休業手当の額は、1日につき平均賃金の6割とする。

5 第33条(会社都合による休業)の期間の賃金は次のとおりとする。
(1) 会社の経営上の理由その他会社の都合による場合…原則として、前項の休業手当を支払うが、事情により平均賃金の6割を超える額又は通常の賃金を支払うことがある。
(2) 不可抗力等会社の責めに帰さない事由による自宅待機命令の場合…平均賃金の3分の1以上6割以下の範囲で会社が定める額を支払う。
(3) 在宅勤務又は一時異動の場合…通常の賃金を支払う。
(4) 休業が所定労働時間の一部であるときは、賃金額が平均賃金の6割に満たない場合に限り、これとの差額を休業手当として支給する。

※年次有給休暇を与えた場合は、以下①~③のいずれかを支払わなければなりません。
(1) 所定労働時間働いたときに支払われる通常の賃金
(2) 平均賃金
(3) 健康保険の標準報酬日額(この場合、従業員代表との書面による協定が必要です。)
これらのうち、いずれによるのか就業規則において明記しておくことが必要です。

裁判員に関する時間など公民権行使の時間や、産前産後の休業、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業、育児時間、生理日の休暇、慶弔休暇の期間について、有給とするか無給とするかは、就業規則で定めておくと良いでしょう。

なお、これらのうち慶弔休暇の期間については、有給とするのが通例です。有給とする場合には、どのような賃金を支払うのか明確にしておくことが必要です。

「会社の責となる事由」とは、経営者として不可抗力を主張することができないすべての場合(例えば、経営管理上の事由により休業する場合。)を含むと解されています。

平均賃金は、通常の場合、3か月間の賃金の総額を3か月間の総日数で割った額となります

第58条 (賃金の改定)

基本給及び諸手当等の賃金の改定(昇給及び降給をいう。以下同じ。)については、原則として毎年○月○日に行うものとし、改定額については、会社の業績及び従業員の勤務成績等を勘案して各人ごとに決定する。また、特別に必要があるときは、臨時に賃金の改定を行うことができる。
就業規則の絶対的必要記載事項には、「昇給に関する事項」が含まれていますが、近年の労働条件設定の多様化の観点から「降給」についても明記するケースか多くなっています。

第59条(賞 与) 

1 会社は、会社の業績、従業員各人の会社への貢献度等を考慮して、賞与を支給するものとする。ただし、会社の業績状況等により支給しないことができる。

2 賞与の支給時期は、原則として、毎年6月及び12月の会社が定める日とする。

3 賞与支給額の算定対象期間は、次の各号のとおりとする。
(1) 6月支給分…下期決算期(前年10月1日から当年3月31日まで)
(2) 12月支給分…上期決算期(当年4月1日から当年9月30日まで)

4 賞与の支給対象者は、賞与支給日において在籍する者とする。

※賞与制度を設けること自体は、労基法その他法律によって義務付けられているものではありません。この規定は、月給制の従業員を対象としたものです。賞与を支給することとする場合は、就業規則に支給の時期、条件などを明らかにしておくことが必要です。
支給対象者は、支給日に在籍しているものとし、期間の途中で入社した者は、その在籍期間に応じて支給額(支給率)を決めるとよいでしょう。
支給時期は、夏季は6月又は7月、年末は12月が一般的ですが、慣行によって決めるとよいでしょう。

第7章 退職金

第60条 (退職金)

退職金については、会社が退職金制度を導入した時は支払うが、制度を導入していない間はないものとする。

※退職金制度を設ける場合には、適用される従業員の範囲、支給条件、退職金の額の計算方法及び支払いの時期などを就業規則に明確に定めることが必要です。
退職金制度を設けることは、法律上の義務ではありませんが、長期間勤続し、退職する従業員には勤続年数と会社に対する功献の度合を考慮して退職金を支給することが望ましいでしょう。  

第8章 表彰、懲戒

第61条 (表彰の原則)

会社は、会社の発展に大きく寄与した従業員に対し、その優れた功績を周知することにより他の従業員とともに栄誉を称え、感謝の意を表するために表彰するものとする。

第62条 (表 彰)

1 従業員が次の各号のいずれかに該当する場合には、審査のうえ表彰することができる。
(1) 品行方正、技術優秀、業務熱心で他の者の模範と認められる者
(2) 災害を未然に防止し、又は災害の際、特に功労のあった者
(3) 業務上有益な発明、改良又は工夫、考案のあった者
(4) 永年にわたり無事故で継続勤務した者
(5) 社会的功績があり、会社及び従業員の名誉となった者
(6) その他前各号に準ずる程度に善行又は功労があると認められる者

2 前項の表彰は、賞状、賞品又は賞金を授与し、これを行う。

表彰・懲戒の制度を定めたときは、就業規則に必ず記載しておくことが必要です。
本条第1項の(4の永年勤続の表彰は、10年、20年、30年のように年数を決めておくとよいでしょう。

表彰は従業員の士気を高めることを目的として行われるもので、その種類は多いのですが、ここでは一般的なものを掲げています。

表彰は、賞状を授与し、副賞として記念品等を贈与するのが通常ですが、その他特別休暇(リフレッシュ休暇等)を与え又は特別昇給等を行う例もあります。

第63条(懲戒の原則)

1 会社は、第  章の服務規律に従わず、是正が必要な従業員に対し、適切な指導及び口頭注意を行うものとする。口頭注意は、当該従業員に非違行為の内容を口頭で指摘し、必要な助言を行い、改善策を求めることにより行う。

2 前項にかかわらず、なお改善が行われず企業秩序を維持するために必要があると認めるときは、本章に定める懲戒処分を行うことができる。

第64条 (懲戒の種類、程度)

1 懲戒の種類及び程度は、その情状により次のとおりとする。
(1) 譴責…始末書を提出させ、書面において警告を行い、将来を戒める。この場合、事前に面接を行う場合と、行わない場合とがある。
(2) 減給…始末書を提出させて、減給する。ただし、1回につき平均賃金の1日分の半額、総額においては一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えない範囲でこれを行う。
(3) 出勤停止…始末書を提出させ、14労働日以内の出勤を停止する。その期間の賃金は支払わない。
(4) 諭旨解雇…懲戒解雇相当の事由がある場合で、本人に反省が認められるときは退職届を提出するように勧告する。ただし、勧告に従わないときは懲戒解雇とする。
(5) 懲戒解雇…予告期間を設けることなく即時解雇する。この場合において、労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当を支給しない。

2 懲戒は、当該非違行為に関する教育指導とともに前項第1号から第4号又は第5号の順に段階的に行うものであり、各号の懲戒を行ったにもかかわらず、改悛の見込みがなく、かつ、非違行為を繰り返す場合には、上位の懲戒を行うことを原則とする。 

懲戒をめぐっては労使間でトラブルが生じやすいので、その種類及び程度をわかりやすく定めることが必要です。

懲戒を行うときは、例えば弁明の機会を与え、事情をよく聴取するなど、適正な手続きによることに努めてください。

減給については、労基法第91条で制限が定められていますので、注意してください。
出勤停止の期間については、法律上の規制はありませんが、情状の程度等に応じて課すべきです。

懲戒解雇で即時解雇する場合には、あらかじめ労働基準監督署長に申請してその認定を受けることが必要です。労働基準監督署長の認定を受けずに即時に解雇する場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支給しなければなりません。

第65条 (懲戒の事由)

1 従業員が、第 章(服務規律)の各規定その他この規則に違反したときは、前条に定めるところにより、懲戒処分を行う。

2 前項にかかわらず、従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、諭旨解雇又は懲戒解雇とする。ただし、情状により、前条に定める譴責、減給又は出勤停止とすることができる。
(1) 正当な理由なく、欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じない又は連絡が取れないとき。
(2) 故意又は重大な過失により、会社の施設、設備に損害を与える等、会社に重大な損害を与えたとき。
(3) 重要な経歴を偽り採用されたとき、及び重大な虚偽の届出又は申告を行ったとき。
(4) 正当な理由なく配転等の重要な職務命令に従わず、職場秩序を乱したとき。
(5) 暴力、暴言その他の素行の不良で、著しく会社内の秩序又は風紀を乱したとき(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントによるものを含む。)。
(6) 会社及び関係取引先の重大な秘密及びその他の情報を漏らし、又は漏らそうとしたとき。
(7) 会社及び会社の従業員、又は関係取引先を誹謗若しくは中傷し、又は虚偽の風説を流布若しくは喧伝し、会社業務に重大な支障を与えたとき。
(8) 刑罰法規の適用を受け、又は刑罰法規の適用を受けることが明らかとなり、会社の信用を害したとき。
(9) 会計、決算、契約にかかわる不正行為又は不正と認められる行為、職務権限の逸脱等により、金銭、会計、契約等の管理上ふさわしくない行為を行い、会社に損害を与え、その信用を害すると認められるとき。
(10) 暴力団員や暴力団関係者と関わりがあることが判明したとき。
(11) 例え軽微な非違行為であっても、再三の注意、指導にかかわらず改悛又は向上の見込みがないとき。
(12) ▼▼に違反する重大な行為があったとき。
(13) 第4章(服務規律)に違反し、その結果が重大であるとき。
(14) その他この規則及び諸規程に違反し、又は非違行為を繰り返し、あるいは前各号に準ずる重大な行為があったとき。

<懲戒事由を懲戒の種類ごとに列挙する場合>
第○条 (懲戒の事由)
1 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責、減給又は出勤停止とする。
(1) 正当な理由なく欠勤をしたとき。
(2) 正当な理由なくしばしば遅刻、早退し、又はみだりに任務を離れる等誠実に勤務しないとき。
(3) 過失により会社に損害を与えたとき。
(4) 虚偽の届出又は申告を行ったとき。
(5) 重大な報告を疎かにした、又は虚偽の報告を行ったとき。
(6) 職務上の指揮命令に従わず職場秩序を乱したとき。
(7) 素行不良で、会社内の秩序又は風紀を乱したとき(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントによるものを含む。)。
(8) 会社内で暴行、脅迫、傷害、暴言又はこれに類する行為をしたとき。
(9) 会社に属するコンピュータ、電話(携帯電話を含む。)、ファクシミリ、インターネット、電子メールその他の備品を無断で私的に使用したとき。
(10) 過失により会社の建物、施設、備品等を汚損、破壊、使用不能の状態等にしたとき、又はサーバ、ハードディスクその他電子媒体に保存された情報を消去又は使用不能の状態にしたとき。
(11) 会社及び会社の従業員、又は関係取引先を誹謗若しくは中傷し、又は虚偽の風説を流布若しくは喧伝し、会社業務に支障を与えたとき。
(12) 会社及び関係取引先の秘密及びその他の情報を漏らし、又は漏らそうとしたとき。
(13) 職務に対する熱意又は誠意がなく、怠慢で業務に支障が及ぶと認められるとき。
(14) 職務の怠慢又は監督不行届きのため、災害、傷病又はその他の事故を発生させたとき。
(15) 職務権限を越えて重要な契約を行ったとき。
(16) 信用限度を超えて取引を行ったとき。
(17) 偽装、架空、未記帳の取引を行ったとき。
(18) 部下に対して、必要な指示、注意、指導を怠ったとき。
(19) 部下の懲戒に該当する行為に対し、監督責任があるとき。
(20) 第4章(服務規律)に違反したとき。
(21) その他この規則及び諸規程に違反し、又は非違行為若しくは前各号に準ずる不都合な行為があったとき。

2 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、諭旨解雇又は懲戒解雇に処する。ただし、情状により減給又は出勤停止とする場合がある。
(1) 正当な理由なく、欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じない又は連絡がとれないとき。
(2) 正当な理由なく頻繁に遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、再三の注意を受けても改めないとき。
(3) 正当な理由なく頻繁に業務上の指示又は命令に従わないとき。
(4) 故意又は重大な過失により、会社に重大な損害を与えたとき。
(5) 重要な経歴を偽り採用されたとき、及び重大な虚偽の届出又は申告を行ったとき。
(6) 重大な報告を疎かにした、又は虚偽の報告を行った場合で、会社に損害を与えたとき又は会社の信用を害したとき。
(7) 正当な理由なく配転・出向命令等の重要な職務命令に従わず、職場秩序を乱したとき。
(8) 素行不良で、著しく会社内の秩序又は風紀を乱したとき(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントによるものを含む。)。
(9) 会社内で暴行、脅迫、傷害、暴言又はこれに類する重大な行為をしたとき。
(10) 会社に属するコンピュータ、電話(携帯電話を含む。)、ファクシミリその他の備品によりインターネット、電子メール等を無断で私的に使用して猥褻物等を送受信し、又は他人に対する嫌がらせ、セクシュアルハラスメント等反社会的行為に及んだとき。
(11) 故意又は重大な過失によって会社の建物、施設、備品等を汚損、破壊、使用不能の状態等にしたとき、又はサーバー、ハードディスクその他電子媒体に保存された会社の重要な情報を消去若しくは使用不能の状態にしたとき。
(12) 会社及び会社の従業員、又は関係取引先を誹謗若しくは中傷し、又は虚偽の風説を流布若しくは喧伝し、会社業務に重大な支障を与えたとき。
(13) 会社及び関係取引先の重大な秘密及びその他の情報を漏らし、又はあるいは漏らそうとしたとき。
(14) 再三の注意及び指導にもかかわらず、職務に対する熱意又は誠意がなく、怠慢で業務に支障が及ぶと認められるとき。
(15) 職務の怠慢又は不注意のため、重大な災害、傷病又はその他の事故を発生させたとき。
(16) 職務権限を越えて重要な契約を行い、会社に損害を与えたとき。
(17) 信用限度を超えて取引を行い、会社に損害を与えたとき。
(18) 偽装、架空の取引等を行い、会社に損害を与え又は会社の信用を害したとき。
(19) 会社内における窃盗、横領、背任又は傷害等刑法等の犯罪に該当する行為があったとき。
(20) 刑罰法規の適用を受け、又は刑罰法規の適用を受けることが明らかとなり、会社の信用を害したとき。
(21) 会計、経理、決算、契約にかかわる不正行為又は不正と認められる行為等、金銭、会計、契約等の管理上ふさわしくない行為を行い、会社の信用を害すると認められるとき。
(22) 前項の懲戒を受けたにもかかわらず、又は再三の注意、指導にもかかわらず改悛又は向上の見込みがないとき。
(23) 第4章(服務規律)に違反する重大な行為があったとき。時間まで、及び1日につき8時間までの労働時間をいう。
(24) その他この規則及び諸規程に違反し、又は非違行為を繰り返し、あるいは前各号に準ずる重大な行為があったとき。
※懲戒処分を行う場合は、次のような点に注意してください。
(1) 懲戒の対象者に対しては、規律違反の程度に応じて過去の同種の事例や処分の程度を考慮して公正に扱わなければなりません。公正を欠く場合には、懲戒権の濫用として無効とされる場合もあります。なお、本条第1項の⑥又は第2項の⑧に該当するかどうかについては、慎重な判断が必要です。

(2) 懲戒規定が設けられる以前の行為に対して遡って懲戒することや1回の事由で2回の懲戒処分を行うことはできません。

セクシャルハラスメントを防止するため事業主が配慮すべき事項についての指針は、セクシャルハラスメントが発生した場合の適正な対処を事業主に義務付けています。セクシャルハラスメントの問題にも対応できるように規定を設けておくとよいでしょう。

第66条 (懲戒の手続)

1 会社が懲戒処分を行おうとするときは、処分の内容、非違行為、懲戒の事由等を懲戒処分通知書で従業員に通知するものとする。

2 懲戒解雇に該当するときであって、行方が知れず懲戒解雇処分の通知が本人に対してできない場合は、届出住所又は家族の住所への郵送により懲戒解雇の通知が到達したものとみなす。

3 諭旨解雇又は懲戒解雇に該当するおそれのあるときは、当該従業員に対し、弁明の機会を付与する。

<追加規定:同僚の立ち会いを認める場合>
4 弁明の機会について、従業員は、自ら選んだ会社所属の従業員1名を立ち会わせることができる。

第67条 (損害賠償)

従業員及び従業員であった者が故意又は重大な過失によって会社に損害を与えたときは、当該従業員又は従業員であった者に対し、損害の全部又は一部の賠償を求めることができる。ただし、従業員は、損害賠償を行ったことによって懲戒を免れることはできない。また、懲戒処分を受けたことによって損害賠償の責めを免れることはできない。

第68条 (自宅待機及び就業拒否)

1 この規則に違反する行為があったと疑われる場合で、調査・処分決定までの前置措置として必要があると認められるときは、会社は、従業員に対し自宅待機を命ずることができる。自宅待機を命じられた者は、自宅待機していること自体が労務の提供であり、勤務時間中自宅に待機し、会社が出社を求めた場合には、直ちにこれに応じられる態勢をとらなければならず、正当な理由なくこれを拒否することはできない。また、会社は自宅待機中は、通常の賃金を支払うものとする。

2 前項にかかわらず、従業員の行為が懲戒解雇事由に該当し、若しくはそのおそれがある場合又は不正行為の再発若しくは証拠隠滅のおそれがある場合においては、会社は調査及び審議が終了するまでの間、就業を拒否することができる。この場合、その期間中は無給とする。

第69条 (管理監督責任)

本章に定める懲戒の対象となった従業員の非違行為について、上司の管理監督責任が問われる場合においては、当該上司についても、本章に定める懲戒の対象とすることができる。

第9章  解雇

第70条 (解 雇)

従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は解雇とする。
(1) 精神又は身体に故障があるか、又は虚弱、傷病、その他の理由により職務に堪えられない、又は労務提供が不完全であると認められるとき。
(2) 協調性がなく、注意及び指導をしても改善の見込みがないと認められるとき。
(3) 職務の遂行に必要な能力を欠き、かつ、他の職務に転換させることができないとき。
(4) 勤務意欲が低く、これに伴い、勤務成績、勤務態度その他の業務能率全般が不良で業務に適さないと認められるとき。
(5) 正当な理由のない遅刻及び早退、並びに欠勤及び直前の休暇請求が多く、労務提供が不完全であると認められるとき。
(6) 特定の地位、職種又は一定の能力を条件として雇い入れられた者で、その能力又は適格性が欠けると認められるとき。
(7)  工事完了、中止、変更その他やむを得ない事由により、従事させる作業がなくなったとき。
(8) 事業の縮小その他会社にやむを得ない事由があるとき。
(9) 重大な懲戒事由に該当するとき。
(10) 前号に該当しない懲戒事由に該当する場合であって、改悛の情が認められなかったり、繰り返したりして、改善の見込みがないと認められるとき。
(11) 非違行為が繰り返し行われたとき。
(12) 会社の従業員としての適格性がないと判断されるとき。
(13) 天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となり、雇用を維持することができなくなったとき。
(14) その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき。

※従業員を解雇するときは、客観的にみて合理的で社会通念上相当な理由が必要で、これを欠く場合は一般に解雇権の濫用として無効となります(労基法第18条の2)。

解雇をめぐって労使間でのトラブルが生じないよう、就業規則において解雇の理由や手続き等を明確に定めておくことが必要です。本条では、解雇に該当する理由を定め、手続きを明らかにしています。

第71条(解雇予告)

1  前条の定めにより、従業員を解雇するときは、次の各号に掲げる場合を除き、30日前に本人に予告し、又は平均賃金の30日分に相当する解雇予告手当を支給する。
(1) 日々雇い入れられる者で雇用期間が1か月を超えない者を解雇する場合
(2) 2か月以内の期間を定めて雇用した者を当初の契約期間中に解雇する場合
(3) 試用期間中であって採用日から14日以内の者を解雇する場合
(4) 本人の責めに帰すべき事由によって解雇するときであって、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合
(5) 天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となったことにより解雇するときであって、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合
2 前項の予告日数については、予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。
3 解雇の通知又は予告は、解雇(予告)通知書で行う。

※従業員を解雇するときは、原則として少なくとも30日前に予告をするか、又は平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要ですが、解雇予告の日数は、平均賃金を支払った日数分だけ短縮することができます。

例えば、6月30日まで勤務させて、解雇する場合は、5月31日までに予告する必要があります。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となったとき、又は重大な服務規律違反など従業員の悪質な行為があったときで事前に労働基準監督署長の認定を受けた場合は、解雇の予告又は解雇予告手当を支払う必要がありません。

第72条 (解雇制限)

1 従業員が次の各号に該当するときは、当該各号に定める期間中は解雇しない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のため、事業の継続が不可能となった場合、又は第85条の打切補償を行った場合には、この限りでない。
(1) 業務上の傷病による療養のために休業する期間及びその後30日間
(2) 産前産後の女性従業員が休業する期間及びその後30日間
2 従業員が療養の開始後3年を経過した日において労働者災害補償保険法に基づく傷病補償年金を受けているときは当該3年を経過した日、又は療養の開始後3年を経過した日後において傷病補償年金を受けることとなった場合は当該傷病補償年金を受けることとなった日において、それぞれ、前項ただし書の打切補償を行ったものとみなす。

※従業員の業務上の負傷、疾病による休業期間とその後30日間及び産前産後の休業の期間〔産前6週間(多胎妊娠にあっては14週間)以内又は産後8週間以内の女性が休業する期間〕とその後30日間は、解雇はできません。ただし、天災事変その他やむを得ない事由によって事業の継続が不可能となったときで事前に労働基準監督署長の認定を受けた場合、又は業務上の事由による負傷、疾病の従業員が療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合(又はその日以降、同年金を受けることになった場合)は、解雇制限が解除されます。
労基法等の規定により、次のことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されています。
(1) 従業員の国籍、信条、社会的身分(労基法第3条)。
(2) 労働者が労働基準監督機関に申告したこと(労基法第104条、労働安全衛生法第97条)。
(3) 従業員が女性であること、女性従業員が結婚、妊娠、出産し、又は産前産後の休業をしたこと(均等法第8条)。
(4) 従業員が育児休業及び介護休業の申出をしたこと、又は育児休業及び介護休業をしたこと(育児・介護休業法第10条及び第16条)。
(5) 従業員が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、又は加入しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと(労働組合法第7条)。

第73条(解雇理由証明書)

従業員は、解雇の予告がなされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について会社に対し証明書を請求することができ、会社は当該請求があった場合には、遅滞なくこれを交付するものとする。ただし、解雇の予告がなされた日以後に従業員が当該解雇以外の理由で退職した場合は、この限りでない。

                      

第10章  安全衛生

第74条 (安全及び衛生)

会社及び従業員は、安全衛生に関する諸法令及び会社の諸規程を守り、災害の防止と健康の保持増進に努めなければならない。

第75条 (遵守義務)

1 会社は、従業員の安全衛生の確保及び改善を図り、快適な職場の形成のため必要な措置を講ずる。
2 従業員は、安全衛生に関する法令及び会社の指示を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。

労働安全衛生法では、人命尊重の立場から、労働災害を防止するために事業主が講じなければならない措置について、具体的かつ詳細に規定しています。
労働災害の防止と、より快適な職場づくりを目指す諸施策の実施が強く望まれています。

安全管理体制の確立
(1) 職場の安全を確保し、快適な職場環境を確立するために、職場の安全衛生管理体制を確立しておくことが大切です。
(2) 労働安全衛生法によって、一定規模以上の事業場においては総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者等の選任が義務付けられています。

例えば、会社の規模が10人以上50人未満のところでは、安全衛生推進者を選任することが義務づけられています(労働安全衛生法第12条の2)。

なお、会社の規模が10人未満のところでは、同推進者の選任は法律上義務付けられてはいませんが、職場に安全衛生管理の担当者を置いて、変化する職場の状況に対応した日常の安全衛生管理に努めることが望ましいでしょう。

〈会社の業務内容、作業実態に沿った具体的な定めをする場合の例〉
第○条(安全、衛生に関する遵守事項)
従業員は、安全衛生に関する次の事項を遵守しなければならない。
① 統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者、安全衛生推進者、作業主任者及び作業指揮者の指示、命令に従うこと
② 常に事業場の整理整頓に努めること
③ 作業に関し保護具を使用し又は防具を装着しなければならないときは、必ず使用し、装着すること
④ 建設機械、クレーン、ゴンドラ等の機械設備、測定用機器、工具等は就業前に点検し、異常を認めたときは、速やかに第1号の安全衛生責任者等に報告し、指示を受けること
⑤ 許可なく安全装置及び危害防止設備を取り除いたり、効力を失わせるようなことをしないこと
⑥ 動力による機械の運転、操作並びに掃除、注油、検査、修繕又はベルトの取り替え等は、あらかじめ指名した者でなければ行わないこと
⑦ 作業は、定められた作業の方法、手順にしたがって行うこと
⑧ 立入禁止区域に立ち入らないこと
⑨ 信号によって操作しなければならない業務については、信号に従うこと
⑩ 定められた合図を守ること
⑪ 適当な投下設備を設けているか、看視人のいるときでなければ、3m以上の高所から物体を投下しないこと
⑫ 喫煙、採暖、たき火、乾燥等は、所定の場所で行い、火気の使用を禁じられた場所では火気を使用しないこと
⑬ 爆発性、引火性等の危険物を取り扱うときは、作業指揮者の指示に従うこと

第76条 (災害時の緊急措置)

1 従業員は、災害の発生する危険があることを知ったとき、又は異常を認めたときは、直ちに臨機の措置をとるとともに、そのことを係員に報告しなければならない。
2 災害が発生した場合は、会社及び従業員はたがいに協力してその被害を最小限にとどめるよう努めなければならない。

災害発生時の応急処理に関しての具体的な措置方法は、事業場ごとに別途定めておくとともに、消防具、救急品等の備付け場所を周知し、その使用方法をあらかじめ従業員に修得させておくことが必要でしょう。
なお、労働安全衛生法第25条では、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を事業場から退避させる等必要な措置を講じなければならないこととされています。

第77条 (安衛生教育)

従業員に対し、雇い入れの際及び配置換え等により作業内容を変更した際に、その従事する業務に必要な安全衛生教育を行う。

会社が、従業員に対し、業務に必要な知識、技能とあわせて安全衛生教育を実施することは大切なことです。労働安全衛生法でも、従業員を雇入れたときや、従業員の作業内容を変更させるときなどに、従事する業務に必要な安全及び衛生に関する教育を行うべきことが定められています(同法第59条)

特定の業務に就かせる際に、一定の資格や講習を必要とするものがあります。安全を確保する上からも十分な注意が必要です(同法第61条)。

近年、科学の進歩に伴って新しい化学物質が広く使用されています。有機溶剤などの有害物を取り扱う作業については、安全の確保と健康障害防止の観点から、その取扱いに十分な注意が必要です。

第78条 (就業制限)

1 会社は、法令に定める危険又は有害な業務若しくは重量物を取り扱う業務に女性及び年少者である従業員を就かせない。

2 法令に定める危険業務に必要な技能又は経験のない従業員を就かせない。

第79条 (就業禁止)

1 会社は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止する。
(1) 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者
(2) 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者
(3) 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるもの及び感染症予防法で定める疾病にかかった者

2 前項の規定にかかわらず、会社は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止することがある。
(1) 従業員の心身の状況が業務に適しないと判断したとき。
(2) 当該従業員に対して、国等の公の機関から、外出禁止又は外出自粛の要請があったとき。

3 会社は、前二項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、会社が指定する医師の意見を聴くものとする。また、従業員は、前二項に該当するおそれがあるときは、直ちに会社に届け出なければならない。

4 第1項及び第2項の規定により、就業を禁止された期間は、無給とする。ただし、会社が必要と認めるときは、特別休暇を付与し、又は在宅での軽易な業務を命ずることができる。

第80条 (健康診断)

1 常時雇用される従業員に対しては、入社の際及び毎年1回定期的に健康診断を行う。

2 深夜業を含む業務等に従事する者及び法令で定める有害業務に従事する者には、別途法令に基づく回数及び特別の項目による健康診断を付加する。これ以外の場合であっても会社が必要と判断した場合はこれに準じて扱う。

3 会社は、前二項の健康診断の結果を本人に速やかに通知するとともに、異常の所見があり、必要と認めるときは、就業を一定期間禁止し、又は配置転換を行い、その他健康保健上必要な措置を命ずることができる。

※一般定期健康診断は、1年に1回(深夜労働その他労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定める業務に従事する者は6か月ごとに1回)定期的に実施することが必要です(労働安全衛生法第66条1項)

一般健康診断の結果は、各労働者に通知することが義務づけられていますので、注意してください(同法第66条の4)

粉じん、有機溶剤などの有害な業務に従事する従業員には、一般健康診断のほか特殊健康診断の実施が必要です(同法同条2項)。

この特殊健康診断を行わなければならない有害業務については、有機溶剤中毒予防規則等労働安全衛生関係規則で定められています。

従業員が採用前3か月以内に健康診断を実施し、その結果を証明する書類を提出した場合には、受診した項目について、採用時の健康診断を省略することができます。

第81条 (面接指導)

1 休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる従業員が申し出たときは、会社は、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。)を行うものとする。
2 前項に定めるほか時間外労働が1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる従業員に対して面接指導を行うことができる。
3 会社は、面接指導を行ったときは、医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該従業員の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該意見を衛生委員会(安全衛生委員会)に報告するものとする。

第82条 (指定医健診)

従業員が次の各号のいずれかに該当する場合、会社は従業員に対し、会社の指定する医師の健康診断を受けさせることができる。なお、これは業務上の必要性に基づくものであるため、従業員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。
(1) 傷病による欠勤が連続7日間を超える場合
(2) 長期の傷病欠勤後出勤を開始しようとする場合
(3) 傷病を理由にたびたび欠勤する場合
(4) 傷病を理由に就業時間の短縮又は休暇、職種若しくは職場の変更を希望する場合
(5) 業務の能率、勤務態度等により、身体又は精神上の疾患に罹患していることが疑われる場合
(6) 海外における勤務に従事する者で、健診の必要のある場合
(7) その他会社が必要と認める場合

第83条 (自己保健義務)

従業員は、日頃から自らの健康の保持、増進及び傷病予防に努め、会社が実施する所定の健康診断は必ず受診し、健康に支障を感じた場合には、進んで医師の診療を受ける等の措置を講ずるとともに、会社に申し出てその回復のため療養に努めなければならない。

<受診義務の規定を設ける場合>
(受診義務)
第○条 会社は、伝染病の疾病のほか、精神的疾患その他就業上影響のある疾病の疑いがある場合、配転、復職等の人事異動に伴い必要な場合、又は業務上予防することが必要な疾病の健診を行う場合には、従業員に対し産業医、嘱託医、又は会社の推薦、指定する医師の受診を命ずることがある。

第11章  災害補償

第84条 (災害補償)

従業員が業務上の事由又は通勤により負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合は、労働基準法及び労働者災害補償保険法に定めるところにより災害補償を行う。


 労働者災害補償保険(以下「労災保険」といいます。)制度は、業務上の事由又は通勤による従業員の負傷、疾病、障害又は死亡について必要な保険給付を行い、あわせて被災した従業員の社会復帰の促進及びその遺族の援護などを図ることを目的とした政府管掌の災害補償制度です。

ただし、業務災害により休業する場合の最初の3日間は、労災保険からの休業補償給付が行われないので、事業主は、労基法に基づいて平均賃金の60%以上の休業補償を行う必要があります。

従業員を使用するすべての会社は、労災保険に加入しなければなりません(ただし、従業員が5人未満の個人経営の農業、従業員を常時使用しない林業、総トン数5トン未満の漁船による5人未満の水産業は任意適用となっています。)。

業務上又は通勤により被災した従業員に対しては、労災保険から必要な給付等が行われますので、事業主は給付の請求手続等について援助を行うことが必要です。

従業員が業務上の事由又は通勤によって被災した場合の労災保険給付を受ける権利は、退職しても変更されることはありません。

第85条 (打切補償)

業務上の事由による災害を受けた従業員が、療養開始後3年を経過しても、負傷又は疾病が治ゆしない場合は、労働基準法の定めるところにより、打切補償を行い、その後の補償は行わない。

第86条 (災害補償と法令)

従業員が同一の事由について、労働者災害補償保険法その他の法令による給付(以下「労災保険等」という。)を受ける場合は、その価額の限度において、会社は第84条(災害補償)の規定に基づく補償を行わない。

<労災上乗せ保険に加入する場合>
第○条 (上積補償等)
従業員又はその家族若しくは相続人(以下「従業員等」という。)が労災上積保険、弔慰金、見舞金その他名称を問わず、業務上の災害により、会社から労災保険等以外の給付を受ける場合には、従業員等はその価額の範囲内の民事損害賠償請求権を放棄しなければならない。

第12章  福利厚生・教育訓練

第87条 (慶弔金)

1 従業員の慶事及び弔事に対して、会社は慶弔金を支給することができる。ただし、試用期間中の従業員、パートタイマー等は、原則として対象者から除外する。

2 会社は、従業員の死亡等(高度障害、傷病等の保険事故を含む。)に係る弔慰金や退職慰労金、上積補償の支払基盤を充実確保するための財源として、会社を保険契約者及び保険金受取人とする団体生命保険等の保険金を充てることができる。この場合、当該保険金(解約返戻金を含む。)は全額会社に帰属するものとする。

3 従業員等に対して支給する慶弔金は、従業員の勤続年数及び会社に対する貢献度、死亡又は障害、傷病等の経緯等を総合考慮のうえ、合理的な金額を支払うものとする。

第88条(教育研修)

1 会社は、従業員に対して、業務に関する知識を高め、技術の向上を図るため必要な教育を行う。

2 従業員は、会社が行う教育の受講を命じられたときは、正当な理由なくこれを拒むことはできない。

3 会社が業務上の必要性を認め、会社の業務命令により行われる教育研修は、原則として所定労働時間内に実施するものとする。研修が所定労働時間外に及ぶときは、時間外労働とし、会社の休日に行われるときは、あらかじめ他の労働日と振り替える。

第89条 (自己啓発義務)

従業員は、会社の行う教育訓練を受ける義務を有するとともに、自らも進んで自己啓発に努め、自己研鑽及び自己の職業能力開発及び向上に積極的に取り組まなければならない。

第13章  雑 則

第90条 (特許、発明、考案等の取扱い)

従業員が自己の現在又は過去における職務に関連して発明、考案をした場合、会社の要求があれば、特許法、実用新案法、意匠法等により特許、登録を受ける権利又はその他の権利は、発明者及び会社が協議のうえ定めた額を会社が発明者である従業員に支払うことにより、会社に譲渡又は承継されるものとする。

第91条 (著作権の帰属)

会社の発意に基づき、従業員が職務上作成し、会社名義の下に公表した著作物(プログラムを除く。)及びプログラム著作物は、職務著作としてその権利は会社に帰属するものとする。

第92条 (相談窓口)

会社は、この規則に関する事項や日常業務における問題点等の相談及び苦情の申出については適宜受け付けるものとする。

第93条 (改 定)

この規則(付属規程を含む。)を改定する場合は、会社の全従業員の過半数を代表する者の意見を聴いて行うものとする。

附  則

1 この規則には次の規程が付属する。
(1) ○○規程
(2) ○○に関する労使協定
2 この規則は、平成○年○月○日から施行する。